イギリスで受けた治験の話
皆さんは治験を受けたことはお有りでしょうか。
私は学生の頃、いかに楽をしてお金を稼いで遊んで行こうか常日頃考えていたダメな学生でした。
そこで見つけたのが治験バイト。短期間にも関わらず、割りといい値段の協力費(お金)を頂くことが出来るのを目をつけ、学生の間に数回やりました。
当記事では、イギリスで受けた治験の話をしようと思います。
目次
治験について
治験(ちけん、Clinical trial)とは、医薬品もしくは医療機器の製造販売に関して、医薬品医療機器等法上の承認を得るために行われる臨床試験のことである。元々は、「治療の臨床試験」の略であるという。wikipedia引用
wikipedia先生から引用しましたが、大体の流れは以下の通りです。
1.健康診断をし、その薬に適している身体かどうか確認する。
2.合格する
3.薬投与されて、言われたことを守って入院or通院
4.退院時に協力費を支給(現金)
特別なスキルなど必要無く労力を使わず、たった4つの工程を行うだけで協力費を頂けるので、個人的に楽なバイトでした。
勿論、良いところだけではないです。
・健康診断から合格までの期間は大体2週間前後かかるので、その間は他バイトがしづらくなる。
・合格しなかったら無駄骨
・発売前の薬を投与されるので、副作用の可能性はないとは言い切れない
学生時代の私は後先考えていない学生だったので、色々治験を受け、副作用も無く、健康診断もパスし、ある程度の協力費を頂いておりました。
受けようと思ったきっかけ
時は過ぎて、社会人になり旅行業界に務めていた冬。
冬の間は、旅行業界は閑散期であり、当時の私は契約社員であったので、冬の間はかなり休暇を頂ける期間となっておりました。
逆に秋のシーズンは繁忙期でもあり、体力もあって、断りきれない私は60連勤を行い、インフルエンザになりかけていて、その現状に腹が立ち、秋が終わった直後、ごっそりと2ヶ月と休暇申請をしました。申請は通りました。不思議な業界です。
あまりに忙しすぎて休暇中何するか考えられなかったので、休暇突入直後は何もする事がなく、特に働くあてがないため、ネットサーフィンをしていたら、昔登録していた治験サイトから面白いメールが届きました。
ロンドン治験1ヶ月! 謝礼金は75万円!
・・・行くしかない・・・!!
すぐさまメールを投げ、問い合わせした所、以下の流れで治験が行われるとの事。
・国内で2回健康診断を行います。
・薬に適している身体かどうか確認し、合格であればロンドンへ飛んで下さい。
・ロンドン行きの渡航費(25万円前後)は弊社が全額負担致します。
・入院スケジュールはロンドンで確認して下さい。
・詳細もロンドンで確認して下さい。
何かきな臭い内容が届きましたが、とりあえず行ってから考えよう精神が働き、国内で健康診断を受けることにしました。
国内での健康診断
国内での健康診断はどうやら2日に分けて受けるようです。
通常の治験ですと、健康診断は1回で終わるのですが、高額な報酬のためか慎重に行っている様子。
そのため被験者である私も慎重に行きたいとこなのですが、なぜか健康診断の前日に無性にモツ煮が食いたくなり、何故かやたら食ってから健康診断に挑む形となりました。
今、振り返るとなぜ健康診断の前日にそんな不健康なモノを食っていたのが不思議でたまりません。
2回に分けられた健康診断を受け、合否発表は約1週間後に電話連絡が来るとのことで、ドキドキしながら待っていたら電話が来ました。
治験会社:おめでとうございます!新薬に適している状態だったので、ロンドンへ飛んで下さい!
ぼく:ありがとうございます!ちなみに私は健康状態だったんですか?
治験会社:いえ、悪玉コレステロールの値が異常に高かったので、受かりました。新薬はその値を下げる薬なんですよ!それでは詳細はまたメールでお送り致しますね!それでは!
ぼく:・・・?
どうやら今回の治験は健康な人が対象の治験ではなく、悪玉コレステロールが高い人を対象とした治験だったらしく、前日に食べたモツ煮を食べていたおかげせいで悪玉コレステロールの値が一時的に上がっていたそうです。
本当に偶然の産物で、ロンドン行きのチケットは獲得できました。KLMオランダ航空のチケットで往復約25万程でした。ヨーロッパ地域のチケットは高いですね…
イギリス入国
オランダで乗り換えしました。1月だったため寒い。
出国前、治験会社の方に1つ言われたことがあります。
入国審査時には、治験のために来ましたとは言わないで下さい。あくまで観光目的に来ましたって言い切って下さい。
と、念をかなり押されて言われました。何か裏事情あるんでしょうね。
そしてイギリスでの入国審査時に色々聞かれました。
審査の人:どのくらい滞在するの?滞在目的は?どこの泊まりですか?
ぼく:1ヶ月間です。観光目的です。友達の家で泊まります。
審査の人:1ヶ月間も!?観光目的で?怪しいから、宿泊先の電話番号教えて。
ぼく:すいません。正直、宿泊先はわかりません。審査ゲートの外で友達が待っているので、その人と話ができれば宿泊施設の場所と連絡先がわかるはずです。その方と取り合って下さい。
※実際に、入国ゲートの外で現地の人と待ち合わせしていて、そのあとホテルに向かう予定でした。
審査の人:良いから宿泊先の電話番号教えて。
ぼく:いやだから、わからないから、審査ゲートのとこ行けば友達が待っているので…(以下ループ)
このやり取りが15分ぐらい続き、審査の人が折れて頂き、無事入国出来ました。
通常の観光ですと、1分ぐらいで終わるんですけどね…
入国ゲートを潜り、現地の人と合流でき、他の日本人の方もそこで合流しました。英語が堪能な人ほど巧みに説明が出来る分、審査の人もしつこく聞かれていたそうです。
その日は日本人と無事全員合流し、指定のホテルに宿泊し、就寝しました。
イギリスでの健康診断
左手に見える建物が実際に入院生活の舞台となった病院
翌日、病院に赴き、治験の詳細内容を初めて聞く事が出来ます。ようやく本番です。
説明された内容は下記の通りです。
・まずは薬の投与無しで、1週間健康な食事を摂って頂きます。
・出された食事は全て食べきって下さい。好き嫌いしないで下さい。
・その後、健康診断を受けて頂き、それでも悪玉コレステロールの値が高い方が合格者です。
・不合格になった方はそのまま日本に帰るか、残り3週間、自費でイギリスにいて頂いても結構です。
・合格になった方は薬の投与有りで本治験開始です。
・入院中は1歩も外には出られません。運動は控えて下さい。
・軟禁状態です。
…色々刺激的な内容ばかりでした。好き嫌い多い自分にとって、出された病院食を全て食べきるノルマが達成出来るのかどうかがかなり心配になりました
ここまで来ておいてキャンセルするわけにもいかないので、その当日から入院生活が始まりました。
広い病室に男性の治験患者が30名、日本人は10名ほどいました。
日本人同士とはいえ、最初はぎくしゃくしていたものの、やはり類は友を呼ぶでしょうか。海外の治験を受けようと思うアウトロー寄りな考えを持ってる人が多く、不思議と話が合う人たちに囲まれてでの入院生活は面白く、海外の話、仕事の話、アニメ鑑賞、賭け大貧民などで暇をつぶし、あっという間に1週間は過ぎました。
そして迎えた最初の健康診断の日。
簡単な血液検査を行いました。日本人は2名落とされるとの事で、確率は2/10名です。確率で言うと20%です。
仲良くなった日本人の方がこう仰っていました。
「ここで不合格になっても健康体である証拠ですよね〜!むしろ健康体である身体に産んでくれたお母さんに感謝しないとですね!もう高額なお金はいらないので、この軟禁状態の入院生活とはもうオサラバしたいです!」
かなりポジティブな人でしたが、血液検査の結果、彼は合格しました。そして私は不合格でした。
なんと私はなんの異常もなく、健康体である事が判明したので、治験終了となりました。正直、嬉しかったです。
話が弾む人たちに囲まれて楽しかったですが、残り3週間ずっと同じ空間にいるというのはかなり苦痛に感じるかと恐怖に感じていました。
イギリス観光
さて、無事退院して、最初に食べたのはお馴染みのファストフード店のダブルチーズバーガーです。
1週間病院食ばかり食べていたので、肉っ気あるジャンクフードめっっちゃ美味かったです。
中心部ではミュージカル公演が盛んに行われていました。英語力皆無だったため、入ることは無かったですが、苦もなくヒアリング出来るようになったらいつしか行ってみたいものです。
観光客が多数いらっしゃって、様々なポージングしていました。
2枚目なんですが、信号機がない横断歩道に通りかかろうとしている車・バイクがいるのにも関わらず、寝そべったりしてまで写真を撮ろうとしているモラルハザードが起きていて驚きました…。
現地で調べて評判が高かったフィッシュ&チップス店「Seafresh Fish Restaurant」です。値段の割に味が美味しかったので、またロンドン行く機会あればここに立ち寄りたいです。ただ1人で食べるとなると、かなり大きめだったので1匹につき2人で食べるのが丁度よいサイズでした。
ロンドンの中心部から少々離れていますが、
24時間営業のベーグル屋「BEIGEL BAKE BRICK LANE BAKERY」です。
写真見ればわかるかと思いますが、マスタード塗られたベーグルに肉を挟んだだけのファストフードですが、肉は赤身なのでかなりあっさりと食べられます。
電話機
ピカデリーサーカス付近の有名ブランドが揃っているストリート
ロンドンは全体的に建築物が美しく、ピカデリーサーカス付近を散歩するだけでも目の保養になれます。もちろん注意はしますが、大きい通りであれば意外と夜でも安全でした。
観光月日は1月のためかなり雪に振られました。全然写真撮れていないのがかなりの心残りですね(泣)
写真があるのとないのとでは全然違うのと、ロンドンはまだ満喫しきれてない感があるのでまた行きたいと思ったオシャレな街でした。